本まぐろの選び方
マグロの代表格である”本鮪”は、腹が厚く脂がたっぷりと乗った言わずと知れた高級マグロと知られています。しかし本鮪だからと言ってすべてが高品質であるとは言えません。国内に流通する本鮪にはいくつか違いがあり、見極めが必要です。
大きな違いは天然か養殖か。生鮮か冷凍か。
組み合わせとして4つ。天然×生鮮、天然×冷凍、養殖×生鮮、養殖×冷凍
単純に選ぶとしたら大間の生まぐろのイメージで「天然もので、生まぐろかなぁ」と思われるのでないでしょうか。
養殖(蓄養)マグロ 柔らかく脂がたっぷり乗っているのでトロ好きにはたまらない
国内に流通する本鮪の4分の3(75%)は養殖マグロです。
穏やかな湾にある生け簀の中で育つ養殖鮪は、大海原と違い狭い囲いの中で必然的に運動量が抑えられ、身は締まらず柔らかくなります。その上で十分にエサを与えられることで、短期間で出荷できる大きさまで成長します。トロ部分がかなり多く、赤身にも脂が入り赤色というよりもピンク色で全体的に明るめの色合いになります。トロ部分がとても多く、口にした際は味が薄く脂身がくどく感じることがあります。
人工的に品質を管理し、通年安定した供給を実現している養殖マグロは、品質・価格が安定しているため扱いやすく、スーパーや回転すしなど身近な場所で広く使われています。インターネットで販売されている本鮪の多くもこの養殖マグロです。産地は国内では九州・四国・近畿など暖かな地域で生産されている生マグロや、海外から輸入している地中海産の冷凍マグロ、メキシコ産の生マグロなどが流通しています。
購入手段:スーパー、量販店、インターネットなど生産量:多い価格:安定
品質:安定生産:安定
成長速度:速い身質:柔らかめ脂の乗り:たっぷり脂質:悪い色合い:明るめ旨み:無し主要産地:生マグロ 国内、メキシコ
冷凍マグロ 地中海(マルタ、チュニジア、トルコ、スペイン、クロアチア等)
天然マグロ 身が締まりマグロ本来の上品な旨さが味わえます
鮮度のよい生きたエサを求め海を回遊する天然鮪は、まさに荒波に揉まれ生存競争を勝ち抜いた海の強者です。過酷な海を十数年かけて育つ鮪は身が締まりキメの細かな脂をまといます。
特に極寒の海を回遊する最高品質の天然鮪は、高タンパクで栄養価が高いオキアミなどの海洋性プランクトンを捕食し、味の深みも色も香りも、全てが違います。
身の色味がより鮮やかになり旨みも各段に良くなります。こうして海のダイヤともいわれる極上の天然鮪は、身が締まり、風味豊かな脂がのり、味が濃く、色味の深い美味しい鮪となります。
一方で、特に産地による品質の違いが大きく、個体ごとの差もあるためその違いを見極める目が必要になります。漁獲量が天候に左右され価格が安定しないなどその取扱いは容易ではありません。
<見極め方>購入手段:鮮魚店、専門店、インターネット生産量:少ない価格:安価~高価 個体ごと振り幅が大きい品質:不安定生産:不安定成長速度:ゆっくり身質:筋肉質脂質:良い脂の乗り:色合い:濃い旨み:あり主要産地:生マグロ 国内 近海冷凍マグロ アイルランド沖、バンクーバー沖、地中海
スーパーなど小売店舗では、養殖ならばそのように表記されいるので知ることができます。
飲食店などでは表記の義務がないため、一概には分かりえません。
インターネットでは、天然まぐろであれば商品名やテキストの中で大きく天然と表記していることが多いので分かりやすいです。一方、養殖の場合には天然とは書けないため、分かりにくい表現をしていますが、最下部商品説明欄に小さく書いてあります。